ヤマト交通事件(東京高判令元・7・3) 貸与する組合事務所を使いたいと明け渡し請求 事務所の代替施設は不適切
2020.03.05
【判決日:2019.07.03】
会社が労働組合に対し、無償貸与する組合事務所の明け渡しを求めた。会社は書類保管場所として使用する必要性を主張した。東京高裁は、返還を請求する正当な理由がある場合、使用貸借契約は終了するとしたうえで、適切な代替施設を提供したか否かが重要と判断。提示した防犯カメラ付きの食堂や5キロ離れた営業所などは、配慮が不十分など不適切として請求を斥けた。
食堂など配慮欠く 貸借契約終了せず
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、タクシー会社である原告(控訴人、以下「会社」という)が、会社従業員の一部を構成員とする労働組合である被告(被控訴人、以下「組合」という)に対し、組合事務所として無償で貸し渡していた会社の本社建物の一室について、会社の業務関係書類を保管する場所として使用する必要性が生じたと主張して、使用貸借契約の終了に基づき、本件事務所の明渡しを求めた事案である。第一審(東京地裁立川支判平31・1・21)が、会社の明け渡し請求を棄却したため、会社が控訴に及んだ。
判決のポイント
1、会社と組合との間には、本件事務所について、…
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令和2年3月9日第3248号14面 掲載