学校法人北海道カトリック事件(札幌地判令元・10・30) 幼稚園教諭が定年後、新人へパワハラで雇止め 再雇用基準は「態度」問わず
2020.04.09
【判決日:2019.10.30】
定年後再雇用されていた幼稚園の元教諭が雇止めされ、パワハラの事実はなく無効と訴えた。札幌地裁は、新人に指導や助言する立場であり、ときに厳しく感じる言い方があっても、指導の領域を超えるとは評価できないと判断。再雇用に当たり健康状態などは基準としていたが、勤務態度は問題にしていなかった。雇止め無効としたうえで、65歳までの雇用継続の合理的な期待を認めている。
言動も指導の範囲 65歳まで更新期待
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、平成4年4月から被告が運営する幼稚園の教諭として勤務し、平成27年3月末日に60歳で定年退職した後、同年4月1日から、定年後の再雇用契約により被告に勤務し、平成29年4月1日以降は、3歳児の園児のクラスの補助担任業務を行っていた。
平成29年4月1日以降そのクラスの担任業務を行ったのは、同日に被告に雇用されたAであった。Aは、平成29年5月半ば頃から欠勤するようになり、6月にメンタルクリニックで「身体化障害」と診断された。その後も欠勤を繰り返し、クラスの担当を外れ、平成30年1月末日をもって自ら退職した。
原告は、Aに対するパワーハラスメント行為を理由に、3回目の更新となる平成30年4月1日以降は契約を更新されずに再雇用されなかったことから、本件雇止めを不当として、労働契約上の地位確認、賃金の支払い等を求めた。
判決のポイント
本件再雇用規程は、…
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令和2年4月20日第3253号14面 掲載