学校法人札幌大学事件(札幌高判令元・9・24) 更新上限9年に延長、7年目で雇止めは無効か 雇用保証しないと書面明示
2020.04.30
【判決日:2019.09.24】
契約更新の上限まで雇用期待があるとして、教員が地位確認等を求めた事案の控訴審。大学は、契約期間中に上限を5年から9年に延長したが、7年目以降の雇用は保証しないと契約書に規定してその後雇止めした。札幌高裁も一審同様に、理事が説明会で数年後の雇用の継続は約束できないと伝えていたことなどから、更新を期待する合理的な理由はないとした。無期転換権は発生していなかった。
合理的期待認めず 理事の発言も考慮
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
労働者Aは、平成22年4月1日~29年3月31日まで、学校法人甲大学が設置する大学の外国語学部ロシア語学科や、地域共創学群のロシア語専攻の特任教員(期間を定めて任用される専任の教員)かつ准教授として勤務していた。
特別任用教員規程(本件規程)は、雇用期間を1年以内としつつ、5年を限度として更新できると規定していた。平成26年2月に施行された改正後の本件規程では、理事会の議決により、更新限度を9年までとすることができるとされた。
Aは、平成22年4月1日、雇用期間を1年間とする有期労働契約を締結し、以後、1年ごとに契約更新した(通算年数7年)。平成27年度の契約書には、平成29年度以降の雇用継続を保証するものではないことが記載されていた。…
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令和2年5月11日第3256号14面 掲載