豊榮建設従業員事件(大津地裁彦根支判令元・11・29) 解雇撤回後も不就労、パワハラ原因でうつ病? 復職しないのは本人に責任
解雇撤回後も復職できなかったのは、うつ病が原因で会社に責任があるとしてバックペイを求めた。解雇後に発症しパワハラがあったと労災認定されていた。裁判所は、解雇通知でショックを受けたとしても業務でうつ病をり患したことには大きな疑問があるとして、復職しないのは「自身の都合」によるものと賃金請求権を否定。会社が立て替えた社会保険料について、本人への求償を認めた。
業務で発症か疑問 バックペイ認めず
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Yは、X社においてダンプの乗車業務等に従事していた者である。Yの勤務態度等に関してX社代表者のX2とトラブルになるなどしていたところ、X社は、Yに対し平成27年4月14日に、6月15日をもって解雇する旨を通知した。その後7月17日に、X社はYに対する解雇通知を撤回し、職場復帰を求める意思表示をしたが、Yは、解雇後、うつ病等を発症したと主張し(その後、労災認定もされている)、診断書を提出して職場復帰に応じなかった。そのため、X社は、解雇撤回後は賃金支払い義務のないことの確認と、その間に立て替えた社会保険料の支払いを求めて提訴し、Yは、うつ病の原因は、X社およびX2によるパワハラであり、解雇撤回後も職場復帰できないことについてX社に帰責事由があるとして、この間の賃金請求をするとともに、パワハラおよび本件解雇について、安全配慮義務ないし不法行為に基づく損害賠償請求をした。また、X2はYのパワハラを理由とする請求が不当提訴であるとして、Yに対し損害賠償請求をした。…
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