近畿大学事件(大阪地判令元・11・28) 任期規程上回る8年超雇用した助教を雇止め 更新の合理的期待は“消滅”

2020.07.23 【判決日:2019.11.28】
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 更新上限を4回までとする規程を上回り、約8年間雇用された助教が雇止めの効力を争った。最後の1年間はいわゆる「不更新条項」が付され、特例的に更新を希望する旨の要望書を提出していた。大阪地裁は、契約の反復更新により生じていた更新の合理的な期待は消滅したと判断。要望書の内容に異議を述べず提出するなど、更新されないことを十分理解していたとしている。

特例的延長に同意 異議を述べず提出

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 本件は、学校法人Yと平成20年1月から原則として1年間(途中1年3カ月間を含む)の有期雇用契約を締結し、以後7度にわたり更新していたXが、Yが平成28年4月以降の契約更新に応じなかったことが労働契約法19条2号に反し無効である等として、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②同年4月分の賃金等の支払いを求めた事案である。

 Yは、平成27年3月13日、Xに対し、X宛ての「雇用期間満了通知書」およびY理事長宛ての「要望書」(署名押印前のもの)を交付した。雇用期間満了通知書には平成27年3月31日付で雇用期間満了により終了となること、大学は、Xの希望があるならば、4月1日から1年間に限り、契約を更新することも検討する旨が記載されていた。また、本件要望書にも、特別に1年間の雇用契約を更新することを希望すること、1年後には雇用契約が再度は更新されず雇用契約が終了することについて理解した旨が記載されており、Xは、平成27年3月14日、交付された本件要望書に署名押印したうえ提出した。

 Yは、同年4月1日、Xに対し、Xを大学の助教に任じ、任期を平成28年3月31日とする旨の辞令を交付した。Xは、平成28年3月1日、Yに対し、本件雇用契約の更新を申し入れたが、Yは応じることなく、同年3月31日は経過した。

 争点は多岐にわたるが、労働契約法19条2号の適用の可否の部分について紹介する。…

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令和2年8月3日第3267号14面 掲載
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