インタアクト事件(東京地判令元・9・27) 弁護士通じ退職願、引継ぎに支障と退職金ゼロ 懲戒解雇できず全額支給を
2020.08.06
【判決日:2019.09.27】
弁護士を通じて退職願を提出し、対面の引継ぎを行わなかったなど20の懲戒解雇事由を理由に、退職金を不支給とした事案。東京地裁は、退職金は賃金の後払い的性格を有するとしたうえで、背信行為の多くは懲戒解雇事由に該当せず書面で引継自体行っていることなども考慮すると、勤労の功を抹消するほどの著しい背信行為とは評価できないと判断。退職金の全額支払いを命じる。
後払い的性格有す 功労の抹消は困難
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、原告代理人を通じて、平成28年11月11日、被告会社に対し、退職通知書の到達後1カ月を経過する日をもって退職する旨、退職日までの間は年次有給休暇を取得する旨等を通知した。また、原告は、原告代理人を通じて、被告で使用していたパスワード等の保管場所、ネットバンキングのIDおよびパスワード、防犯ビデオ等の管理に関する情報の所在、原告が使用していたパソコンのアカウントパスワード、パソコン内に保存されている生体認証システムの登録・解除に関するパスワード等の情報、鍵管理表等のファイルの存在等を伝達し、被告からの業務引継に関する問い合わせに回答した。
原告は、訴訟を提起し、被告に対し、平成28年度冬期賞与48万円余、退職金69万円余等を請求した。…
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令和2年8月10日第3268号14面 掲載