経済産業省事件(東京地判令元・12・12) 性自認は女性、トイレ一部使用できず賠償請求 性同一性障害 制限は違法

2020.09.10 【判決日:2019.12.12】
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 戸籍上の性別が男性で、自らを女性と認識するトランスジェンダーの職員が、女性トイレの使用を制限されたため損害賠償を求めた。東京地裁は、自認する性別に即した社会生活を送ることは重要な法的利益と判示。性同一性障害と診断後、ホルモン投与により女性に性的な危害を加える可能性は低く、外見も踏まえたうえで、使用制限を違法と判断した。企業の取組みにも変化が生じているとしている。

治療歴や外見みて 民間で柔軟な対応

筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)

事案の概要

 原告は、経済産業省にて勤務する国家公務員である。トランスジェンダー(出生した時に割り当てられた性別と自認している性別とが一致しない状態またはその状態の者)であり、専門医から性同一性障害の診断を受けている。

 原告は、幼少の頃から、自らの身体的性別が男性であることに強い違和感を抱いており、平成10年頃からは、女性ホルモンの投与や性同一性障害の専門医によるカウンセリングを受けるようになり、平成11年頃には、a医師から性同一性障害という診断を受けた。平成20年頃からは、私的な時間の全てを女性として過ごすようになり、平成21年7月にe医師からも性同一性障害という診断を受けたが、性別適合手術までは行っておらず、戸籍上の性別も男性である。

 平成21年、原告は、職場のbに対し、性同一障害であることを伝えるとともに、秘書課のc調査官らとの面談に際し、女性職員として勤務すること、女性用休憩室や女性用トイレの使用を認めることなどを要望した。しかし、経産省は、原告に対し、一部の階の女性トイレの使用を認めなかった。そこで、原告は、本件トイレに係る処遇は違法であるなどとして国に対し国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め訴訟提起した。…

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令和2年9月14日第3272号14面 掲載
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