理化学研究所事件(東京高判平30・10・24) 中国勤務者が雇止め無効と提訴、準拠法どこに 労務管理拠点の日本法適用

2020.09.24 【判決日:2018.10.24】
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 雇止めされた中国事務所の職員が、中国法に基づき雇用継続を求めたのに対し、法人は契約期間満了と訴えた。東京高裁も日本法が適用されると判示。労働条件の決定・管理は国内で行われ、労務提供地の法を適用すると定める通則法の推定を覆し、最密接関係地を日本とした。日本からの赴任時に別段の合意もないなど、準拠法として日本法を選択したと判断し、職員の請求を却下した。

通則法「推定」覆す 契約期間は満了に

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 Xは、埼玉県D市に主たる事務所を有する国立研究開発法人である。Yは、中国で出生し、平成16年に日本国籍を取得し、平成13年5月以降、Xにおいて研究職または事務職として就労していた。

 XとYは、平成13年5月頃に、契約期間を同月1日~平成14年3月31日まで、職務を研究その他関連するプログラム研究の遂行、勤務地をD本所、勤務条件を本契約のほか、Xの任期制職員就業規程に定めるところによる旨の労働契約を締結した(「任期制職員契約①」)。その後、①は、4回更新された。

 XとYは、平成18年4月1日、契約期間を同日~平成19年3月31日まで、職務を新しい研究プロジェクトの遂行などとする労働契約を締結した(「任期制職員契約②」)。XとYは、平成19年4月1日、契約期間を同日~平成20年3月31日まで、平成23年3月31日以降の雇用契約は締結しない旨を定め、②を更新した。平成22年4月1日、契約期間を同日~平成23年3月31日まで、本契約をもって契約を終了する旨を定め、②を更新した。

 Xの理事らは、Yに対し、平成22年5月27日、契約事務職員になってC事務所長(中国)への就任を提案した。

 XとYは、平成22年9月1日、契約期間を同日~平成25年8月31日まで、勤務地をD本所、業務内容を本所外務部の業務その他関連する業務、更新の有無については本契約をもって終了し、契約更新はしない旨を定める労働契約を締結した(「本件労働契約」)。

 XとYは、平成22年10月1日、勤務地をC事務所(中国)とする旨、本件労働契約を変更した。Xは、平成25年9月1日以降について、本件労働契約を更新しなかった。

 争点は多岐にわたるが、雇用契約不存在確認請求に関する準拠法に関する部分について紹介する。…

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令和2年9月28日第3274号14面 掲載
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