共立メンテナンス事件(大阪地判平8・10・2) 単身者寮の管理人・寮母の割増賃金は? 「断続的労働」なら必要ない

1997.03.17 【判決日:1996.10.02】
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労基法41条3号の許可得るのが前提

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 Yは学生寮、社員寮等の運営を業とする会社であり、X1、X2はYの経営する単身者用寮の管理人及び寮母として雇用された。X1、X2はその業務が早朝から深夜にわたり、休日労働もあるのに割増賃金が不払いである等として大阪地裁に提訴した。なお、YはX1らの業務についてその後、所轄労基署から断続的労働(労基法41条3号)の許可を得たが、本件は許可が下りるまでの期間の請求権の存否が争われたものである。

判決のポイント

 1、就業規則上の始業時刻(午前6時)前のX1、X2の就労についてはYが業務命令を発した事実はないから、本来行う必要のない時間帯に自発的に労働を行ったものでも時間外手当を請求することはできない。

 2、就業規則上の終業時間(午後10時)後のX1の就労については、電話交換業務及び館内巡視時間が午後11時までが前提であった等の事実によれば11時までの勤務を行うことにつき、Yが包括的業務命令を発していたと認められる。従って、当該部分の賃金請求権はある。

 3、X1、X2の業務は労働密度がさほど濃厚とはいえないが、電話、来客対応、配達物対応など待機時間も含まれ、仕事から完全に解放されることはなかったから労働時間と解される。…

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平成9年3月17日第2145号10面 掲載
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