日本コンベンションサービス事件(大阪地判平8・12・25) タイムカードによる時間外算定の可否は? 時間管理の実態で判断
判例も外勤は× 内勤〇と対照的
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
原告らは、被告会社を退職する前に被告会社の従業員として内勤業務及び外勤業務に従事していた。被告会社は、昭和53年頃、人件費を抑制するため時間外手当に代えて、定額の勤務手当を支払うようになったが、その後も引き続きタイムカードによる勤務時間の管理を行っていた。もっとも、タイムカードの打刻漏れや打刻時刻の訂正の必要が生じたときは、届書に記載して上長の承認を得てタイムカードに時刻を手書きしたり、自らタイムカードに時刻を手書きし、後に上長がそれを承認するということも行われていた。それでもタイムカードへの打刻そのものは、ほぼ怠りなく正確に行われ、基本的にタイムカードによって勤務時間が管理されていた。原告らは、タイムカードの記載から労働時間を算定しうることを前提に、法定時間外労働について割増賃金を請求するとともに、被告会社の給与規定では法定内時間外労働についても割増賃金が支給されることになっているので、これについても割増賃金の支払いを求めたのが本件である。
判決のポイント
(1)タイムカードの打刻が遅刻をチェックする意味しかないからといって、そのことからタイムカードの記載が従業員の労働時間の実態を反映していないということにはならない。タイムカードへの打刻は継続的に行われ、それがルーズに行われていたとはいえないから、タイムカードに基づいて、原告らが従事した時間外労働時間を算定することができる。…
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