日本コンベンションサービス事件(大阪地判平8・12・25) 競合会社設立で従業員引抜き、退職金は 首謀者への不支給認める

1997.09.01 【判決日:1996.12.25】
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背信行為の判断に地位、待遇等で差

筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、国際会議等の企画・運営を業務とするY会社が、同社を退職し、同種事業を営む新会社の設立に参加したXら7名を懲戒解雇に付し、退職金を不支給としたことに対し、Xらが退職金を請求した事案である。

 Y会社の代表取締役副社長兼関西支社長であったZは、業績を伸長させたのに利益が関西支社に還元されないことに不満をもち、社内改革でも社長と対立し、代表取締役を辞任することとしたが、平取締役に降格されたことから独立を計画するようになった。関西支社次長であったXは、Zの指示で在籍中に新会社の設立を準備したところ、社長の知るところとなり、Zは関西支社長を解任され自宅謹慎を受けた。そこでXらは、新会社の設立を宣言し、関西支社の従業員、さらに、名古屋支店及び京都支店の従業員に対しても新会社への勧誘を行い、一関西支社の書類や物品を持ち出すなどして新会社の設立を準備した。

 Xらは、約1力月先を退職日と指定して退職の意思表示を行ったところ、Y会社は、Xらに対し懲戒解雇を通告した。

 Y会社の就業規則には、退職後2年間A会社の業務地域において、その従業員が勤務中に担当した業務について、Y会社と競合して営業を営むことができない旨の規定があり、また、Y会社はXら6名との間において、就業規則とは別に競業禁止契約を結んでいた。

 Y会社は、Xらの退職金請求は権利の濫用であると主張した。

判決のポイント

 ① コンベンション業務は、…

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平成9年9月1日第2167号10面 掲載
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