力ツデン事件(東京地判平8・10・29) 対象期間勤務した定年退職者から賞与の請求 支給日在籍要件は有効
1997.11.10
【判決日:1996.10.29】
妥結の遅延に伴うケースは理由必要
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
XはY会社に雇用されていたが、平成7年6月27日、定年により退社した。Y会社の給与規程によると、夏季賞与の支給日は、原則として7月の第2週の金曜日とし、支給対象期間は前年11月21日から当年5月20日までとするが、支給日現在在籍している者に支給すると定められていた。
Y会社は、平成7年度の夏季賞与を同年7月7日に支給したが、Xには支給しなかった。Xは、賞与は労働の対価として支払われるもので、月例賃金と性質が異なるものではなく、本件賞与の支給対象期間である平成6年11月21日から平成7年5月20日までの期間勤務していたのであるから、本件賞与は全額支給されるべきである。また、賞与の支給日在籍要件は、支給対象期間の全部又は一部を勤務しているにもかかわらず、支給日在籍者と不在籍者との間に支給上差別を設けるものであり、不在籍者に支給しないとすることは、労働者に大きな生活不安を与えることになるのであるから、支給日在籍要件を定める就業規則の規程は、労働基準法1条の趣旨に反し、労働の尊厳性に違反するもので無効である、と主張し、夏季賞与の支払いを求めた。
判決のポイント
Y会社の給与規程には、…
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平成9年11月10日第2176号10面 掲載