アメックス(降格等)事件(東京地判令元・11・13) 育休中に原職消滅、リーダーから外され違法? 同じ職務等級で不利益否定
育休前は営業部門のチームリーダーだった女性が、復帰後にリーダーから外されたのは違法無効と訴えた。所属チームは育休中の組織再編で消滅していた。東京地裁は、ジョブバンド(職能等級)の低下を伴わない役職の変更を不利益な降格でないと判示。復帰後に新チームが発足したが、会社は勤務態度も考慮したうえですでにリーダーに相当する役職へ配置しており、通常の人事異動の範囲とした。
「通常」の人事異動 勤務態度も考慮し
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、被告会社の個人営業部の東京のベニューセールスチームのチームリーダーとして勤務していたが、平成27年7月出産し、平成28年7月まで育児休業等を取得した。被告は、平成28年1月、ベニューセールスチームを4チームから3チームに集約するとともに、アカウントセールス部門を新設し、これにより原告チームは消滅した(本件措置①)。原告は、平成28年8月、育児休業等から復帰し、被告は、原告を新設したアカウントセールス部門のマネージャー(バンド35)に配置した(本件措置②)。
被告は、平成29年1月、ベニューセールスチームを3チームから2チームに更に集約するとともに、アカウントセールスチームにリファーラルセールスを担うチームを併合して、リファーラル・アカウントセールスチームを新設し、そのチームリーダーとしてAを配置した(本件措置③)。
原告は、本件訴訟を提起し、育児休業等の取得を理由としてチームリーダーの役職を解かれ、アカウントマネージャーに任命されるなどの措置を受けたことが、均等法9条3項および育介法10条、就業規則等または公序良俗(民法90条)に違反し、人事権の濫用であって違法・無効であるとして、①主位的に、ベニューセールスチームのチームリーダー(バンド35)またはその相当職の地位にあることの確認を求め、②予備的に、アカウントマネージャーとして勤務する労働契約上の義務が存在しないことの確認を求めるとともに、③不法行為または雇用契約上の債務不履行に基づき、損害賠償金の支払等を求めた。…
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