判決年月2004年12月の労働判例

2005.08.29 【判決日:2004.12.06】
松下電器産業事件(大津地判平16・12・6) 企業年金一律2%引下げは契約に違反し無効か 裁量の範囲内で相当性あり
ジャンル:
  • 賃金
  • 退職年金

 経営悪化により利息相当分などを負担する企業年金の給付を一律2%減額する措置に対し、受給者3人が引下げは年金契約に反し無効と訴えたもので、予測以上に業績などが悪化した場合、制度運営者は加入者の同意の有無に関わらず合理的裁量範囲内での変更は許されるとし、給付引下げの相当性を認めた。 会社負担が大きく 破綻するおそれも 筆者:弁護士 石井 妙……[続きを読む]

2005.07.25 【判決日:2004.12.15】
JR東海中津川運輸区事件(名古屋地判平16・12・15) 定年前出向の列車運転手が就労義務ないと主張 業務上必要な高齢者の処遇
ジャンル:
  • 配転・出向

 労組支部委員長で、事故を起こし適性に問題ありとされた列車運転手が、定年前出向協定による出向命令は権利濫用、労組も活動弱体化を図る不当労働行為として争った事案。判決は業務上の必要性を認め、出向による不利益も通常甘受すべき範囲と認定した。労組の請求も反組合的な意図ではないと斥けた。 復職予定なくても 不利益も甘受範囲 筆者:弁護士 加茂 善……[続きを読む]

2005.07.18 【判決日:2004.12.22】
JR西日本(受動喫煙)事件(大阪地判平16・12・22) 車掌詰所で受動喫煙被害、“全面禁煙”を求める 完全防止までの義務負わず
ジャンル:
  • 労働安全衛生法

 車掌詰所での受動喫煙によるストレス、健康被害の危険性を理由に全面禁煙措置と、安全配慮義務違反による損害賠償を請求したが、法令上、全ての箇所で禁煙措置の義務を負わせるものではなく、詰所に常駐することがないうえばく露時間も短く、現実的に治療が必要な健康障害もないとして訴えを斥けた。 常駐場所ではない 賠償請求も斥ける 筆者:弁護士 岩本 充……[続きを読む]

2005.07.11 【判決日:2004.12.12】
東京日新学園事件(さいたま地判平成16・12・12) 学校法人の経営引継ぎ、雇用巡って労使が訴え 労働力使用する立場も継承
ジャンル:
  • 労働契約
  • 承継

 学校法人譲渡に際し不採用旧職員の団交要求を拒否、地労委への救済申立に対抗し新法人が雇用関係不存在の確認を求め、組合員も反訴した。商法上の営業譲渡に類似すると判断、雇用契約を事業と有機的一体として継承したに等しく労働保護法上の責任を負うとし、不採用を解雇権濫用、不当労働行為と認定。 採用の自由あるが 不当潜脱許されず 筆者:弁護士 中町……[続きを読む]

2005.06.20 【判決日:2004.12.27】
練馬交通事件(東京地判平16・12・27) 年休取得で手当カットは違法、減額分を請求へ 不利益の回避は“努力義務”
ジャンル:
  • 年休

 年休取得による皆勤手当と安全服務手当のカットは労基法違反として減額分の支払いを求めたが、経済的不利益回避は使用者の努力義務であって私法上の効果を否定する効力は有しないとし、年休権行使を抑制するものではなく、法の趣旨から望ましくはないが公序に反し無効とはいえないと判示した。 不支給の扱い有効 権利行使抑制せず 筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営……[続きを読む]

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