判決年月2018年9月の労働判例

2019.11.28 【判決日:2018.09.13】
公益財団法人後藤報恩会ほか事件(名古屋高判平30・9・13) 面談で注意指導、声荒げず違法性なしの一審は 職場排除示唆したパワハラ
ジャンル:
  • 退職
  • 退職勧奨

 学芸員がパワハラを受けたとして、退職後に慰謝料を求めた。館長らは年休の取得方法や時季を問題視して、面談で「非常識」「次は辞表を書いていただく」などと発言した。声を荒げず職務上の注意指導とした一審に対し、高裁は、館長らは代表理事の親族であり、地位、立場に照らし職場から排除を示唆されたと感じ得るもので、社会的相当性を逸脱する退職勧奨でパワハ……[続きを読む]

2019.10.24 【判決日:2018.09.14】
大島産業事件(福岡地判平30・9・14) 完全歩合給で採用、規程は固定給のみで効力は 就業規則下回る条件は無効
ジャンル:
  • 割増賃金
  • 周知・効力
  • 就業規則
  • 賃金

 トラックの元運転者が、賃金規程にない歩合給が適用されたとして未払割増賃金などを求めた。賃金は、路線単価に貨物の量に応じた率を乗じていた。福岡地裁は、就業規則の日給月給制と異なる条件に合意したとしても、労働者に有利でなければ無効と判断。出来高給の割増賃金は25%のみで足り、就業規則の最低基準効に反するとした。路線単価の合計額を割増基礎とし……[続きを読む]

2019.06.13 【判決日:2018.09.11】
ジャパンビジネスラボ事件(東京地判平30・9・11) 保育園決まったが正社員に復帰できず地位確認 育休後の有期契約に「合意」 ★ 
ジャンル:
  • 労働契約
  • 労働契約の期間

 育休後に契約社員にさせられ雇止めされたのは違法として、正社員の地位確認などを求めた。東京地裁は、保育園が決まらない中で労働契約を継続するには週3日勤務になる必要があり、契約変更の合意を有効と判断。会社は協議なしに戻れないと説明していた。一方、期間満了の雇止めに合理的理由はなく、面談で復帰時期や条件を示さないなど会社の不誠実な態度に慰謝料……[続きを読む]

2019.05.23 【判決日:2018.09.10】
国立大学法人Y大学事件(東京地判平30・9・10) 会議を無断録音し懲戒、処分公表に違法性は? 戒告は有効で名誉毀損せず
ジャンル:
  • 処分の量刑
  • 懲戒・懲戒解雇

 学長選考会議の無断録音やデータ送信などで戒告処分を受けた教授が、学内ホームページに処分を公表され名誉毀損と訴えた。東京地裁は、処分を適法かつ有効としたうえで、不祥事の再発防止を目的に処分の周知が規定化され、本人の特定もないことから請求を斥けた。仮に、本人と特定できたとしても、教授という公的立場にあり、内容も真実として違法性を否定した。……[続きを読む]

2019.03.28 【判決日:2018.09.27】
保険金請求事件(最一小判平30・9・27) 後遺障害残り自賠責請求、満額受け取れない!? 被害者請求権が国より優先 ★
ジャンル:
  • 労災
  • 損害賠償

 交通事故で労災の障害補償一時金では補いきれない損害を受けたとして、加害者の自賠責保険から保険金をいくら受け取れるか争われた訴訟の上告審。保険会社は自賠責の限度で、被害者と国の請求額に応じ按分していた。最高裁は、国が求償した結果、被害者が保険金を優先的に受け取れないのは自賠責や労災の制度趣旨に沿わないと指摘。遅延損害金算定のため原審に差戻……[続きを読む]

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