判決年月2021年9月の労働判例

2022.08.04 【判決日:2021.09.29】
エスツー事件(東京地判令3・9・29) 配属部署が存続不能で新卒留学生の入社困難に 拙速な内定取消しを認めず
ジャンル:
  • 労働契約
  • 採用内定

 採用内定を取り消された留学生が損害賠償を求めた。会社は、配属先の責任者が退職したため事業が存続不可能などと主張した。東京地裁は、勤務場所や職種の限定もなく、内定取消しを回避すべくあらゆる手段を検討すべきと判断。財務状況の悪化は認められるが、責任者の退職から2週間後の取消しを拙速とした。試用期間を超えて働く蓋然性を認め、半年を限度に損害金……[続きを読む]

2022.07.14 【判決日:2021.09.07】
Hプロジェクト事件(東京地判令3・9・7) “アイドルは労働者”として未払最低賃金求める タレント活動に諾否の自由
ジャンル:
  • 労働者
  • 労基法の基本原則

 農業活性化を図るため結成されたグループのアイドルの労働者性を争った事案。最低賃金法の適用に関して、東京地裁は、販売応援など各タレント活動を行うか否かの「諾否の自由」を有しており、労働者性を否定。イベント参加を促す発言は認められるが、参加の自由を制約するとまではいえないとした。報酬は収益の一部を分配するもので、労務の対償としての性質は弱い……[続きを読む]

2022.05.19 【判決日:2021.09.15】
みよし広域連合事件(徳島地判令3・9・15) 飲酒運転の車両へ部下同乗、本部長を戒告処分 監督不行届での懲戒無効に
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 部下の監督責任

 友人と飲酒後、友人が運転する車に同乗した職員を懲戒免職としたうえ、消防長を監督不行届で戒告処分した事案。戒告処分の無効を求めた訴訟で徳島地裁は、消防長は飲酒運転の注意喚起を行っており、管理監督義務の懈怠を否定。私生活上の非行に及ぶ蓋然性が高いといった事情は認識できないとした。部下への指導監督は直属の長である消防署の署長らに委ねざるを得な……[続きを読む]

2022.05.12 【判決日:2021.09.28】
ロバート・ウォルターズ・ジャパン事件(東京地判令3・9・28) コロナ流行中に出勤を命じた派遣元に賠償請求 在宅勤務求める義務負わず
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務
  • 派遣

 新型コロナウイルスの感染を懸念して在宅勤務を求めた派遣労働者が、出勤を命じた派遣元に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求した。東京地裁は、当時通勤によって感染することを予見できなかったと判断。派遣元が派遣先に対し、在宅勤務を求めるべき義務は負わないとした。なお、派遣元は出勤時刻の繰下げを要望し実現させるなど十分な配慮をしたとして……[続きを読む]

2022.03.03 【判決日:2021.09.07】
テトラ・コミュニーケーションズ事件(東京地判令3・9・7) 書類提出に非協力的で協調性欠くとけん責は? 弁明の機会与えず懲戒無効
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒手続
  • 暴力・暴言

 けん責処分は違法無効として、従業員が会社に損害賠償等を求めた。処分の理由は、DC移行に必要な書類の提出を求めた会社に対し、脅迫的な言動をしたことだった。東京地裁は、就業規則等に規定がなくても弁明の機会を与えるべきと判断。懲戒事由の「非協力的で協調性を欠く」か否かは、経緯や背景も確認する必要があるとした。手続的相当性を欠き処分無効で、慰謝……[続きを読む]

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