労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2022.09.22 【判決日:2022.02.25】
ベルコ(労働契約申込みみなし)事件(札幌地判令4・2・25) 葬儀会社の代理店従業員、委託元と雇用関係? 無許可派遣で「みなし」対象
ジャンル:
  • 労働者
  • 労基法の基本原則
  • 派遣

 冠婚葬祭業務を請け負う代理店の従業員が、委託元に対し未払賃金等を求めた。札幌地裁は、自己の労働者を自ら直接利用するか、請け負った業務を独立して処理するかのいずれにも該当する場合を除き、派遣に当たると判示。指揮命令関係から無許可派遣と判断した。委託元とは雇用関係がないとの書面を提出させ、労働契約申込みみなしの権利行使を妨げたとして慰謝料を……[続きを読む]

2022.09.15 【判決日:2021.11.29】
NECソリューションイノベータ事件(大阪地判令3・11・29) 育児介護理由に転勤拒否、解雇され無効と提訴 配転命令の有効性を認める
ジャンル:
  • 業務命令違反
  • 解雇
  • 配転・出向

 事業場閉鎖に伴う配転命令を拒否して懲戒解雇された従業員が、育児・介護を理由に転勤等はできないと主張して地位確認等を求めた。大阪地裁は、会社が認識していた子の疾病や親の介護の内容等からは通常甘受すべき程度を著しく超える不利益はないと判断。従業員自ら十分な説明を行わなかったとしたうえで、仮に事情を考慮しても配転命令は有効であり、懲戒権の濫用……[続きを読む]

2022.09.08 【判決日:2022.02.08】
学究社事件(東京地判令4・2・8) 同意しないまま2年連続年俸減らされ差額請求 賃金改定の定め合理性欠く
ジャンル:
  • 賃金
  • 賃金請求権

 2年連続の年俸減額は一方的で無効として、塾講師が差額賃金等を求めた。契約書等では評価で減給するとしていた。東京地裁は賃金が重要な労働条件の1つであり、合理的な算定方法を合意した場合に限り、会社は年俸額の査定・決定権限を有すると判断。給与規定等では昇給率の算出方法を授業アンケート結果によるなどと抽象的にしか定めず、合意は成立していないとし……[続きを読む]

2022.09.01 【判決日:2021.12.23】
日東電工事件(広島地裁福山支判令3・12・23) 退職日の日付なし、合意していないと地位確認 受理承諾され“撤回”認めず
ジャンル:
  • 退職
  • 退職願

 退職願を提出した従業員が、退職希望日の日付を入れず無効であり、また後日撤回したとして地位確認を求めた。裁判所は、届出の内容から労働契約を終了させる意思は明らかとした。退職願の返還を求めておらず行動が整合しないなどとして撤回も認めなかった。部長が退職を承認し、電話で退職願を受理したことを伝えており、合意解約は成立したとしている。 辞める意……[続きを読む]

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