労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2023.12.14 【判決日:2023.01.30】
Cホールディングス事件(東京地判令5・1・30) 部長がパワハラ理由に譴責され処分無効求める 第三者へメール送信は不要
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 暴力・暴言

 部下へのパワハラを理由に譴責処分された部長が、処分は無効と訴えた。東京地裁は、本人以外の者も宛先やCCに入れて叱責のメールを送信したとして、懲戒事由に該当すると判断。メールの内容は部下を感情的に叱責する印象を与えるものだったことは否定し難く、第三者に送信したことは業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業規則で禁じる嫌がらせに当たるとしている……[続きを読む]

2023.12.07 【判決日:2022.11.16】
日本クリーン事件(東京高判令4・11・16) 労働組合へ相談し情報漏えいしたと諭旨退職に 懲戒処分相当でも重過ぎる
ジャンル:
  • 守秘義務違反
  • 懲戒・懲戒解雇

 マンション清掃中のトラブルを社外労組へ相談した組合員に対し、顧客情報の漏えいを理由とした諭旨退職を無効とした事案の控訴審。組合HPで委託元の名称等が表示されていた。東京高裁は、重大な非違行為だが会社の社会的評価への影響は限定的等として処分は重きに失し無効とした。組合員は守秘義務に基づき企業名等を匿名化する注意義務を負っていたとしている。……[続きを読む]

2023.11.30 【判決日:2023.02.02】
グッドパートナーズ事件(東京高判令5・2・2) 2カ月の派遣満了、雇止め無効とした一審は? 更新ゼロでも強い継続期待
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 派遣労働者に有期雇用契約の更新が確定したとのメールを送信した後の雇止めを無効とした事案の控訴審。派遣期間に合わせて2カ月契約を締結していた。東京高裁も、メールの内容は更新に強い期待を抱かせるとして雇止めを無効とした。労働契約法19条2号に基づき、従前の2カ月契約で更新したものとみなした。メールに記載のない2度目の更新の期待は認めなかった……[続きを読む]

2023.11.24 【判決日:2021.12.13】
バークレイズ証券事件(東京地判令3・12・13) 外資系金融の部長解雇、高報酬で地位不安定!? 人員削減する必要性認めず
ジャンル:
  • 整理解雇
  • 解雇

 外資系金融機関の部長が、専任のポジションの廃止に伴う退職勧奨を拒否して解雇されたため、地位確認等を求めた。会社は、高報酬ゆえ地位が不安定などと雇用慣行を強調したが、東京地裁は、整理解雇を無効とした。職位廃止と解雇の必要性は別次元の問題で、人員削減の必要性を否定した。地位や職種限定の合意は認められず、降格や賃金減額など解雇回避努力も怠った……[続きを読む]

2023.11.16 【判決日:2023.01.17】
学校法人横浜山手中華学園事件(横浜地判令5・1・17) 妊娠中の休業撤回され混乱、業務に支障と解雇 不利益な取扱いで違法無効
ジャンル:
  • 均等待遇
  • 女性
  • 職務能力
  • 解雇

能力不足といえず 地位確認を認める 筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)  妊娠中の休業の申出を撤回したり、育休の延長申請で業務に支障が生じたとして普通解雇した事案。教員の地位確認請求に対して、横浜地裁は、不利益取扱いに当たり解雇無効と判断。休業中の賃金を6割とする扱いに不満を持ち、撤回することも不合理とはいえないとしている。女性の言動……[続きを読む]

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