労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2024.12.12 【判決日:2024.03.08】
イオン銀行事件(東京地判令6・3・8) 販促用の洗剤を持ち帰ったら盗んだとクビに!? 窃盗だが懲戒解雇重過ぎる
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  • 懲戒・懲戒解雇
  • 職務外非行

 銀行の副店長が、通勤中に営業開始前の携帯ショップの店頭にあった洗剤を盗んだとして懲戒解雇された事案。販促物として「ご自由にお取りください」と表示されていた。東京地裁は、営業時間外の取得は窃盗罪に該当し得るが、解雇は重過ぎるとした。周囲に犯行が発覚し銀行の信用を失墜させたが、販促物は高価でなく、反省の態度を示し謝罪していることも考慮した。……[続きを読む]

2024.12.05 【判決日:2021.10.20】
日本コーキ事件(東京地判令3・10・20) 溶接技術は期待はずれ、中途採用後1カ月でクビ 試用期間中の解雇が有効に
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  • 労働契約
  • 試用期間

 溶接経験がある技術者を中途採用した機械メーカーが、入社1カ月で期待はずれだったとして試用期間中に解雇した事案。東京地裁は、会社が期待した技術水準に達する見込みがないと判断したことは合理的とした。小規模で即戦力を雇う必要性が高かったとしたうえ、職務経歴書等の内容から即戦力として期待するのが自然だが、本人が作成した数百点の製品は期待と乖離し……[続きを読む]

2024.11.28 【判決日:2023.05.11】
社会福祉法人紫雲会事件(東京高判令5・10・11) 定年後は賞与なし、差別でないとした一審は? 責任異なり不支給を認める
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 定年・再雇用
  • 退職

 定年後の嘱託職員が、期末・勤勉手当の請求を棄却した一審を不服として控訴した事案。東京高裁も、不支給は不合理とはいえないと判断。正規職員とは業務負担と責任に差異があり、手当には正規職員の勤続の奨励も含むうえ、定年時の8割の基本給が支給されていたことを考慮した。不支給は有期雇用を理由としたものではないとした。扶養手当に関する請求も退けている……[続きを読む]

2024.11.21 【判決日:2024.06.27】
懲戒処分等取消請求事件(最一小判令6・6・27) 飲酒運転して物損事故、退職手当なしは違法か 原審覆し全部不支給を認容 ★
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  • 賃金
  • 退職金

 飲酒運転や物損事故等を理由に公務員の退職手当を全額不支給とした事案。不支給処分を取り消した一審判断を維持した原審に対し、最高裁は、処分に裁量権の逸脱濫用はないとして取消請求を棄却した。被害は弁償され懲戒歴もなかったが、事故を起こしたまま帰宅し悪質なこと、警察官に虚偽の説明をし不誠実なこと、公務に対する住民の信頼を大きく損なったとしている……[続きを読む]

2024.11.14 【判決日:2024.04.25】
東光高岳事件(東京地判令6・4・25) 定年後に合併、期間満了時の賃金減拒み雇止め 同じ条件で更新期待認めず
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 定年後に継続雇用された者が、吸収合併した親会社からの賃金減額の更新条件を拒否して雇止めされた事案。東京地裁は、更新回数なども踏まえ同一の条件での更新期待を否定した。更新とは直近の労働条件を指すとしたが、親会社の規程に基づき5割減額に同意した者もいるなど、従前の条件は保障されていないとした。合併後の条件変更の可能性を労働者も認識していたと……[続きを読む]

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