『承継』の労働判例

2021.10.28 【判決日:2021.03.26】
ヴィディヤコーヒー事件(大阪地判令3・3・26) 事業譲渡後も同じ店で勤務、労働条件引継ぐ? 退職金債務負うのは転籍元
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 事業譲渡後も同じコーヒーショップで勤務していた店長が、転籍先へ退職金を請求した事案。「退職金制度あり」の譲渡会社から、「同制度なし」の譲受会社へ転籍した。大阪地裁は、会社間の事業譲渡契約において、転籍元で発生した退職金債務を転籍先が引き受ける合意は認められないと判断。転籍先への支払い請求を斥けた。転籍元の役員は店長に対し、退職金は支払う……[続きを読む]

2017.06.14 【判決日:2017.03.28】
エイボン・プロダクツ事件(東京地判平29・3・28) 工場分社化して転籍命じる、本人同意あり問題は? 承継法の個別協議なく無効 ★
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 工場分社化に伴う転籍後、会社解散で解雇された事案。労働契約の承継手続きに不備があったとして、元従業員が地位確認等を求めた。会社は同意書面があると主張したが、東京地裁は承継法の個別協議を実施したとはいえないと判断。本人希望を聴取のうえ協議すべきで、プロセスが重要としている。リストラ対象と告げ、労組脱退を条件に承継を迫った言動を問題視した。……[続きを読む]

2015.11.02 【判決日:2014.08.27】
ヒューマンコンサルティング事件(横浜地判平26・8・27) いじめ理由に解雇され会社の事業譲渡先に賃金請求 法人格濫用で債務承継する
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 いじめや職務怠慢を理由とする解雇は無効として、解雇後に事業譲渡された会社等に対して賃金等を求めた。横浜地裁は、解雇事由は認められないとしたうえで、労組の執拗な要求や残業代等を免れるために新法人を設立したと推認した。会社間で法人格の使い分けはなされず一体の組織と判断。法人格濫用の法理を適用し、解雇無効により生じる債務は譲渡先が負うとした。……[続きを読む]

2014.08.11 【判決日:2013.04.22】
阪神バス事件(神戸地裁尼崎地判平26・4・22) 障害理由に残業免除、会社分割後配慮なく継続要求 労働条件は黙示的にも承継
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 障害があるバス運転者が、会社分割に伴い障害に配慮した勤務シフトが打ち切られたのは不当として配慮の継続などを求めた。神戸地裁尼崎支部は、残業の免除などは労働条件として黙示的に合意され承継されると判示。不利益変更を伴う転籍に合意しても、承継に関する通知を怠るなど承継法の趣旨を潜脱しており公序良俗に反し無効とした。 変更合意でも無効 公序良俗……[続きを読む]

2010.09.13 【判決日:2010.07.12】
日本アイ・ビー・エム事件(最判平22・7・12) 会社分割に伴う転籍拒否、協議不十分と訴えたが… “労契承継指針”に適う手続 ★
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 日本IBMの元社員6人が、会社分割に伴う新会社への転籍無効を求めたが、一、二審は棄却したため上告した。最高裁は、承継に必要な「事前協議」(旧商法等改正法附則第5条)や労働者の理解や協力を得る努力義務(承継法第7条)について、協議は数回行われ、多くは同意するなど、労働契約承継の「指針」に適うもので、不十分とはいえないとして上告を棄却した。……[続きを読む]

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