【努力義務化!70歳までの就業確保 新しい高齢者雇用】第4回 70歳現役めざす福岡県の取組み (上) 活躍の仕方は様ざま 起業やボランティアも支援/藤村 博之

2021.01.28 【労働新聞】
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「センター」置き職業紹介

 70歳かそれを超えて働ける社会を実現する上で、福岡県の取組みが参考になる。福岡県は、2012年に「70歳現役応援センター」(以下、「センター」)を開設し、高齢者への職業紹介を始めた。全国で初めての試みだった。筆者は、10年に設置された「福岡県70歳現役社会づくり研究会」の委員長を務め、センターの設立にかかわる機会を得た。そのときの議論を振り返りながら、センターの意義と役割を考えてみたい。

 この事業は、当時の麻生渡知事の強い思いが結実したものであった。4期目の終わりに差しかかっていた麻生氏は、高齢化が急速に進む日本社会にとって、元気なうちは働き続けて社会を支える側に居続ける高齢者が増えることが大切だと考えていた。また、働き続けることは健康に良いという考え方にも共感し、「八掛けくらいでちょうど良い」とも言っていた。これは、暦年齢の8割くらいで自分の年齢を認識すれば良いのではないかという意味である。暦年齢60歳は48歳、70歳は56歳、80歳でようやく64歳ということになる。私たち日本人には、まだまだ活躍できるのに、年齢で自分をしばってしまう傾向がある。そういった意識を払拭したいとの思いを持っていた。

 また、当時のハローワークは、若年層や中堅層の職業紹介に忙殺されており、65歳を超えた人たちへの職業紹介に十分な資源が割けないという状況があった。65歳を過ぎてハローワークに仕事を探しに行くと、「公的年金が支給される年齢になったのだから、無理して働かなくても良いのではないですか」と言われ、紹介してもらえないという話も聞こえてきていた。

 他方、企業側では、人材が確保できないといった問題が発生していた。募集しても応募者がゼロの状況が、中小企業を中心に常態化しつつあった。企業としては、能力、意欲、体力があるのなら年齢にはこだわらないという姿勢だったが、ハローワークに求人を出しても、働きたいと思っている高齢者にその情報が届かない状態だった。麻生氏は、…

筆者:法政大学大学院 イノベーション・ マネジメント研究科 教授 藤村 博之

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令和3年2月1日第3291号6面 掲載
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