【人事学望見】第1274回 リボン闘争とスト権 別格高級ホテルでは正当性なし
使用者の指揮監督が及ばない就業時間外は、労働組合活動は原則自由に行える。ただし、就業時間外であっても、会社施設内で行う場合は、使用者の施設管理権を侵害することになりかねないから、使用者の承認がなかった場合には争いになることが多い。
類型的には争議へ含まず
できたばかりの労組が、組合員間の連帯感の高揚を図るため、リボンを着用して就労したことでトラブルになり、最高裁まで争ったのは大成観光事件(最三小判昭57・4・13)。国際的にも知名度の高いホテルオークラで展開された組合活動だけに一筋縄にはいかない。
事件のあらまし
Yホテルの従業員で組織するA組合は、結成3カ月後に、組合員間の連帯感・仲間意識を高揚し、士気を鼓舞することなどを目的に、就業時間中に「要求貫徹」などと記入したリボンを着用したまま就労した。
Yホテルは、警告を無視してリボン闘争を指導したとして組合員A1~5を減給する旨の処分に付すとともに、譴責処分に付した。
Aら組合員5人および当該組合並びにその上部団体が、これらの処分は不当労働行為に当たるとして都労委に救済を申し立てた結果、同労委は懲戒処分の取消しと減給額の支払いをYに命じた。
Yがこの救済命令の取消しを訴えたところ、東京地裁はリボン闘争が組合活動と争議行為の両面を有するとしたうえでその行為の一般違法性とホテル業での特別違法性のいずれも肯定し、正当な組合活動ではないとした。東京高裁もこれを維持している。…
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