【若手社員をやる気にする!退職金・企業年金の再編】第5回 意義を考える 人事の視点で捉え直す 法律的な性質も踏まえて/山崎 俊輔
早期退職促す機能も
日本には退職金制度を設定し退職時に支給する労働法制上の義務はない。諸外国のなかには、韓国のように勤続年数に応じた一定の退職金を支払う義務を法令で定めている国もある。しかしながら、一度設定した退職金制度は賃金制度に準じた支払いの義務が生じる。賃金支払確保法の基本ルール(一括で現金支給するなど)は退職金もカバー範囲としている。
これはつまり、一度設定した退職金制度については「払えないから、払わない」という言い訳を、会社がしてはいけないということだ。すでにスタートしている制度は、これから辞めていくことになる社員に対しても同水準の支払いを約束しており、もし水準の見直しをしたいのであれば、適切な労使合意プロセスを踏まえて制度改正を行わなければいけない。
最近では若手経営者の一部に退職金制度は、むしろ会社の重荷になるので実施しない方が良いと考える風潮さえあるようだ(ただし、それが適切な理解かは今後の連載で論じていく)。
あなたの会社がすでに退職金制度を導入しているのであれば、この制度を有効活用していく必要がある。社員のやる気を引き出し、ロイヤルティーにつなげていくことができれば決してムダではない。今週は「会社にとっての退職金制度の意義」を整理してみよう。
人事コンサルティングオフィスなどに、退職金制度の見直しを相談した場合、制度論の前に行われるのが「制度の意義やねらいの確認作業」である。
そこでよく使われるのが「3つのR」の視点で整理する考え方だ(図)。…
筆者:企業年金コンサルタント 山崎 俊輔
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