【若手社員をやる気にする!退職金・企業年金の再編】第6回 コストに見合っているか 維持費用は給与の10% 人事報酬制度へ組込みを/山崎 俊輔
2021.02.11
【労働新聞】
“福利厚生”にあらず
退職金制度を維持するための「費用」がどれくらいかかっているか即答できるだろうか。会社がまだ若く、定年退職がほとんど発生しない場合、ぴんとこないかもしれない。しかし、創業から20年以上経った会社でそれは困る。感覚としては「給与等支給額の約10%」を見積もっておくことが必要だ。
まずはデータをみてみよう。経団連の「2019年度福利厚生費調査結果」によれば、現金給与総額が社員1人当たり54万7336円のところ、社会保険料などの法定福利費は8万4392円、法定外福利費は2万4125円となっている。これに加えて退職金(一時金、企業年金)に掛かる費用が4万7354円だとしている。現金給与総額の8.6%くらいの費用だ(図1)。
人件費として会社負担の社会保険料が、給与の15%くらい上乗せされる感覚はあるだろう。しかし、さらに10%ほどの負担を、退職金制度の維持のため要している認識はあるだろうか。
こうした負担感は退職金制度の運営方法によっても異なる。企業年金制度や退職金共済を用いる場合、毎月外部に資金を積み立てるため、給与の一定割合を上乗せする感覚でコスト負担をしている。
しかし、退職一時金制度のみで運営しており、定年退職者が年に1人出るか出ないかの時期にある会社では、それほど重い負担と感じることができない。これは、将来的に…
筆者:企業年金コンサルタント 山崎 俊輔
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令和3年2月15日第3293号13面 掲載