【元監督官が明かす!!送検・監督のリスク管理 事例徹底分析】第20回 健康診断 「医師の意見」聴取を 脳・心疾患 事後措置講じ防げ/西脇 巧
2021.02.25
【労働新聞】
事業者・労働者双方へ法的義務
今回は、労働基準監督署(以下「労基署」)が、健康診断未実施違反で送検した事例を取り上げたい。労働安全衛生法(以下「安衛法」)では、事業者に対して、大きくは一般健康診断(①雇入れ時、②定期=1年以内ごとに1回実施、③特定業務=深夜等業務従事者、配置替え・6月以内ごとに1回実施など)と、特殊健康診断(有機溶剤や化学物質取扱いなどの業務従事者、雇入れ時・配置換え・6月以内ごとに1回実施など)を実施することを義務付けている。
これらの実施目的は、(a)従業員が従事する作業環境や作業に健康面で支障がないかどうかを確認すること、(b)事業場に存在する有害要因によって健康への影響を評価し、健康障害を発生または増悪させることを防止すること、(c)自らの健康状態の把握、生活習慣の改善などについて意識付けや動機付けを行って、労働者が健康を保持増進できるように支援すること――が挙げられる。事業者が従業員の健康状態の把握を怠れば、これらの目的が実現できず、従業員の健康障害を招く恐れがある。とくに、表1のように健診未実施で労基署から複数回違反を指摘されている場合や、業務に従事することに起因して疾病が発症した場合には、司法事件化しやすいため、注意する必要がある。…
筆者:TMI総合法律事務所 弁護士 西脇 巧
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令和3年3月1日第3295号11面 掲載