【元監督官が明かす!!送検・監督のリスク管理 事例徹底分析】第26回 注文者の講ずべき措置 足場などで立件も 労災発生時に事業者同様/西脇 巧
2021.04.08
【労働新聞】
有害性について文書で情報伝達
今回は、事業者(使用者)ではなく、注文者が送検された事例を取り上げたい。
労働基準関係法令は基本的に、従業員を雇用(使用)する事業者に、当該従業員の労働条件や安全衛生に関して、様ざまな法的義務を課している。もっとも、注文者から仕事の依頼を受ける場合には、注文者の構内で設備や原材料などを使用して事業者(請負人)の従業員が危険有害業務に従事することがある。また、これにより1つの場所(以下「一の場所」)で異なる事業者に所属する従業員が混在作業を行うこともある。これらの場合、請負人による法的措置や自主的な努力のみでは災害防止の効果を上げることが難しい。
そこで、労働安全衛生法(以下「安衛法」)では、一定の注文者に、請負人の従業員の安全衛生を確保できるよう必要な措置を取ることを義務付けている(表1)。なかには、労働災害の発生を端緒として、事業者(請負人)のみならず、注文者を送検している事例もある(表2)。…
筆者:TMI総合法律事務所 弁護士 西脇 巧
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令和3年4月19日第3301号11面 掲載