【人事学望見】第1285回 監視断続的労働と割増賃金 自発的行為をカウントして請求
2021.04.15
【労働新聞】
国会開催中に答弁書などを作成する公務員の残業時間は、厚労省が示した過労死基準の数倍に達するという報道があった。国会質疑で時間を空費するのはいかがかといいたいところだが、民間企業で繰り広げられる無許可・自発的残業は管理的責任を問われることにもなり得る。
管理業務で労働密度薄い
事務的労働や管理・清掃業務などで自発的残業が問題視されるケースは多い。吉田興業事件(名古屋高判平2・5・30)も数あるうちの1つだった。
事件のあらまし
ビル管理業などを営むY社に雇用されたAは、Y社が業務委託を受けている水資源開発公団の出張所に住み込みで働いていた。
Aは、始業時刻である午前8時前に行った労働、および公団職員が退庁した後の労働について、カウントされるべき労働時間であるとして割増賃金の支払い請求を行った。
判決の要旨
管理会社のY社は、公団から出張所の管理等に関し、仕様書に記載どおりの業務を委託され、Aらに対する実際の指揮、監督を公団側にも重畳的に委ね、公団職員もAらに対して仕様書に基づいて仕事を指示していたものということができる。
そして、公団職員が退庁した後の戸締り等の仕事をするために待機していた時間は、いわゆる手待ち時間として…
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令和3年4月26日第3302号12面 掲載