【元監督官が明かす!!送検・監督のリスク管理 事例徹底分析】第29回 36協定違反に関する最高裁判決 労基法第32条 併合罪が成立 1・2項で意義異なる/西脇 巧

2021.04.30 【労働新聞】
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「週40時間」から事実関係を特定

 今回は、時間外・休日労働に関する労使協定(以下「36協定」)違反により送検された後、検察官が公判請求し、最高裁判所まで争われた事例を取り上げたい。事案の概要は、表1に記載したとおりである。

表1 最高裁まで争った残業事案

※最高裁判決差戻し後の控訴審判決により認定された事実(ただし、労基法第32条1項部分)

 運送業を営むA社の代表取締役は、統括運行管理者と共謀のうえ、平成17年4月16日~18年4月15日までの36協定を締結し、1カ月の時間外労働の限度を130時間と定めていたにもかかわらず、従業員に対して、以下の時間外労働を行わせていた。

①平成17年11月16日~12月15日までの1カ月につき130時間を超えて
 (a)12月7~13日までの週につき15分
 (b)12月14~20日までの週につき15時間15分

②17年12月16日~18年1月15日までの1カ月につき130時間を超えて
 (a)1月4~10日までの週につき15時間
 (b)1月11~17日までの週につき23時間15分

 36協定の1カ月の限度を超えて時間外労働を行わせた場合における労基法第32条第1項違反の違反事実に関し、最高裁(平成21年7月16日第一小法廷判決)は次のとおり判断している。…

筆者:TMI総合法律事務所 弁護士 西脇 巧

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令和3年5月10日第3304号11面 掲載
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