【事故防止 人の問題を考える】第106回 エイジフレンドリーな職場をつくる(1)
なぜ、いま〝エイジフレンドリー〟か
現在、わが国の65歳以上の人口は、全人口の3割近くにも及び、今後も増加が見込まれ、2065年には4割近くに達すると推計されています。高齢者の増加に伴い、働く高齢者も増加し、さらに、いつまでも働きたいと意欲を持つ高齢者も増加しており、そのことが働く高齢者の増加に拍車をかけます。
働く高齢者の増加により、高齢者の労働災害も増加しています。その特徴は、簡単な作業での労働災害が目立つこと、被災すると重傷になるケースが多いことなどがあげられます。
このため、安倍政権の時代には、骨太の方針2019(経済財政運営と改革の基本方針)において「サービス業で増加している高齢者の労働災害を防止するための取組を推進する」が盛り込まれるなど、高齢者が安心して安全に働ける職場環境づくりや健康づくりが重要な政策課題に位置づけられました。
これを受け、厚生労働省は2020年3月にエイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の健康と安全の確保に関するガイドライン)を策定し、令和2年度からはこの施策の普及が推進されています。
このような状況を踏まえ、本連載では今回から「エイジフレンドリーな職場をつくる」をテーマに、〝エイジフレンドリー〟和訳すれば〝高年齢者の特性に応じた〟職場の安全対策、健康確保策をどう進めれば良いかなどについて解説していきます。
導入として今回と次回は、なぜエイジフレンドリーな職場づくりが必要かを説明します。
「60歳を超えても働きたい」が8割
さまざまな統計データを基に、エイジフレンドリーな職場が今必要な理由をみていきます。…
執筆:労働安全衛生総合研究所 高木 元也
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