【人事学望見】第1288回 チェック・オフと嫌がらせ 中止は組合財政弱体化が狙いか
チェック・オフとは、使用者が賃金支給の際、組合費を控除して労組に一括して渡すことをいう。労基法24条1項は、賃金全額払い原則を定めているが、チェック・オフはその例外。労使協定に基づいて行うことが要件であり、就業規則、労働契約等にその旨定める必要がある。
明確な要件 確認ができず
看護師に対する組合脱退勧誘、チェック・オフの中止などを行ったところ、地労委から不当労働行為であると命令された使用者がその取消しを求め、最高裁まで争ったのは済生会中央病院事件(最二小判平元・12・11)である。
判決の要旨
労基法24条1項は、労働者の生活を安定させるため、法令に別段の定めがある場合のほか、使用者が賃金の一部を控除して支払うには、「過半数組合等」との「書面による協定」を要するとした規定である。そうすると、使用者が賃金の一部(組合費相当額)を控除して支払うのであるから、同項の適用を受ける。
しかしながら、組合は組合員の経済的地位の向上を主たる目的とするものであり、その組合費は組合活動の資金源となるので、これを確保するチェック・オフは、通常組合員すなわち労働者の利益に合致するから、これについて使用者の恣意を抑制し、個々の労働者の保護を図る必要性はない。
同項が「書面による協定」を要件としている趣旨は、協定の締結を慎重ならしめるとともに控除の対象となる項目の内容、種類および限度を明確ならしめて個々の労働者を保護しようとするものと解される。
チェック・オフについては、過半数組合との書面による協定という要件を満たさないものであっても直ちに同規定に違反するものとはいえず本件チェック・オフもその例外ではないと考えられる。
しかして、原審の認定によると、…
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