【労働基準監督官の目】「暗黙知」の欠如
2011.01.01
【安全スタッフ】
ずいぶん前、トンネルの切羽の落盤により、発破の結線作業を行っていた労働者が死亡する災害の調査を行ったことがある。その工事では、周囲の地盤に振動を与えないようにする必要から、連続的に穴をあけ切羽を円形にくり抜く特殊な掘削の工法を採用していた。切羽を円形にくり抜いた状態では、切羽の部分が周囲の岩盤から切り離されることになるため、落盤の危険性が高くなる。さらに地層がトンネルの切羽に向けて傾斜している「流れ盤」であったため、地盤に対し不適切な工法を採用したことが原因で起きた災害と考えられた。しかし、工事関係者は地盤に対し不適切な工法であったと認めることはなかった。つまり、予測はできなかったということである。
災害が起きるたび、予測ができなかったという抗弁(?)が行われる場合がある。…
執筆:岡山・新見労働基準監督署 署長 山本 正晴
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平成23年1月1日第2129号 掲載