【裁判例が語る安全衛生最新事情】第120回 神奈中ハイヤー事件 運転手の受動喫煙に対する損害賠償 横浜地裁小田原支部平成18年5月9日判決
2011.01.01
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Yは、タクシー事業と車両運行管理請負事業を営んでいる株式会社であり、原告Xは雇用されたタクシー運転手である。Xは、日頃からタクシー車両内での乗客による喫煙による受動喫煙に苦しみ、目や喉に不快感を覚えており、慢性気管支炎との診断も受けた。そのため、被告Yに対して、安全配慮義務違反または不法行為による損害賠償として、精神的苦痛に対する50万円の支払いを求めた。
Ⅱ 判決の要旨
1、受動喫煙に対する安全配慮義務
厚生労働省の通達(平成15年4月30日付健発第043003号「受動喫煙防止対策について」)は、受動喫煙による健康への悪影響については流涙、鼻閉、頭痛などの諸症状や呼吸抑制、心拍増加、欠陥収縮など生理学的反応などに関する知見が示されるとともに、慢性的影響として、肺がんや循環器疾患等のリスクの上昇を示す疫学的研究があり、…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成23年1月1日第2129号 掲載