【裁判例が語る安全衛生最新事情】第369回 青森三菱ふそう自動車販売事件 過労による適応障害で高額賠償 仙台高裁令和2年1月28日判決
2021.05.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、平成27年1月に、自動車整備業であるY会社に、自動車整備工として入社し、その整備車業を行っていたが、平成28年4月16日にその営業所内に設置された天井クレーンの先につながれた金属製のワイヤーに首をつった状態で発見され、心肺停止状態で急きょ搬送され、心肺蘇生後入院したが、同年5月9日、低酸素脳症により死亡した(自殺か否かについては争いがあったが自殺と認定された)。
亡Aの両親X1、X2が、違法な長時間労働により精神疾患を発症して自殺したとして損害賠償請求訴訟を提起した。なお、所轄労働基準監督署長は、亡Aの自殺を業務上として労災の決定をしている。
一審判決(青森地方裁判所八戸支部平成30年2月14日判決)は、それほどの長時間労働ではなく(1月80時間を超えていなかったと断定することはできないが、亡Aが記載した就業時間報告書が実際の残業時間をかけ離れて少ないことまで積極的に裏付ける的確な証拠はない)、また、うつ病発症の兆候自体があったとはいえないとして、X1らの請求を棄却した。本件はその控訴審判決である。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2021年6月1日第2379号 掲載