【裁判例が語る最新安全衛生事情】第123回 ギオン事件 MDS罹患従業員への安全配慮義務 千葉地裁平成17年9月21日判決
2011.02.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告X1は被災者Aの妻、原告X2~X4は被災者Aの子どもたちである。
被災者Aは、Y社が吸収合併したB社の社員で、千葉市内にある自宅から松戸営業所まで通勤していた。
業務の内容は、亡Aは所長に次ぐ立場として、工場から毎日納入されるアイスクリームや冷凍食品の商品を倉庫で保管しつつ、各地域の小売店へ搬出するための商品の仕分けをして保冷車に積み込み搬送するというものであるが、荷物の配送業務や配送コースのシフトを組んだり、伝票整理や夜間に車両を見回る業務などであった。
ところが、亡Aは、平成9年11月より骨髄異形成症候群(MDS)に罹患していたが、平成10年8月8日に肺炎となって入院後、同月27日肺炎による多臓器不全により死亡した。
原告X1らは、亡Aが肺炎で死亡したのはB社(吸収合併後はY社)による安全配慮義務違反によるものとして損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、亡Aの過重労働
亡Aの平成10年5月からの1日13時間を超える労働時間、1カ月に1日ないし3日の休日、往復約3時間の通勤時間などに亡Aの立場・業務内容を合わせ考慮すると、亡Aは、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成23年2月15日第2132号 掲載