【社労士が教える労災認定の境界線】第100回 けんかの仲裁に入った従業員がひっくり返った鍋を浴び負傷
2011.03.01
【安全スタッフ】
災害のあらまし
請求人は、会社に製型工として勤務していたが、X年12月28日午後4時30分頃、会社の仕事納めの納会が行われていた食堂で、従業員同士のけんかの仲裁に入り、転倒して食堂のテーブル上にあった鍋がひっくり返り、A病院で「顔面熱傷、頸部熱傷、背部熱傷、臀部熱傷、両下股熱傷、胸部熱傷」などの負傷(やけど)と診断された。
判断
請求人は、本件負傷は業務上の事由によるものであるとして、労働基準監督署長に療養補償給付の請求をしたところ、労基署長は、請求人の負傷は業務上の事由によるものではないとして、支給しない旨の処分をした。請求人の審査請求に対して、労働保険審査会は業務上の事由によるものと認定し、労基署長の支給しない旨の処分を取消し、業務上とした。
解説
労災保険法による保険給付は、原則として①労働者であること、②業務上の災害であること(業務遂行性)、③業務が原因で災害が起こったこと(業務起因性)などの要件を満たしたときに行われる。今回は②および③が争点となる。…
執筆:中小企業福祉事業団幹事 奴賀社会保険労務士事務所 所長 奴賀 智
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平成23年3月1日第2133号 掲載