【裁判例が語る最新安全衛生事情】第125回 KYOWA事件 見習社員の過労死に対する損害賠償 大分地裁平成18年6月15日判決
2011.03.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、死亡当時26歳で被告Y社の見習社員であり、原告X1はその妻、X2、X3はその子らである。被告Yは、金属の加工・販売を目的とする会社であり、亡Aは平成14年5月から勤務し、鉄板の凹凸をならす作業に従事していたが、同年8月10日に急性心不全で突然倒れ、死亡した。
亡Aの作業状態は、土・祝日は全て出勤し、日曜日も直前になって出勤を命じられることがあり、平日も午後8時ころまでは残業するのが常態となっていた。亡Aの死亡直前1週間の労働時間は約81時間、直前1カ月間の労働時間は約332時間であった。勤務を開始してから死亡までの3カ月と10日で、休日を取得できたのは計8日であり、死亡前の13日間は休日を取得していなかった。さらに、Y社の工場内には冷房はなく、作業のための装備を装着するために暑く、夏場の作業は、高温による負担もかかるものであった。原告X1らは、被告Y社が安全配慮義務を怠ったとして損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、業務と発症との因果関係
亡Aの経歴、Y社入社前の健康状態、ことに…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成23年3月15日第2134号 掲載