【若手社員をやる気にする!退職金・企業年金の再編】第21回 給付水準引下げ 減額に厳しいハードル 計画的な事前準備が必須/山崎 俊輔
2021.06.03
【労働新聞】
不利益変更に当たる
退職金制度を導入すると、支払いの責任が生じる。退職金規定や企業年金の規約を設けた以上は、そのルールに従った給付は社員の期待するところであり、支払いは会社の責任であるとみなされるからだ。「あいつは困った社員だったから払いたくない」「会社にキャッシュがないのだから払いたくない」というような理由は通用しない。
もし、会社に損害を与えて懲戒解雇した社員を不支給としたいなら、不支給の規定があらかじめ存在しなければならない。
また、お金がないから払えないという理由は一切通用しない。賃確法は退職金も保護の対象としているし、上場企業に求められる退職給付会計では、退職金の資金準備を「社員に対する会社の債務」、つまり払わなければならないお金の準備と捉えているほどだ。
確定給付の企業年金制度を採用している場合、財政状況は定期的に検証され、積立不足が拡大しないようコントロールすることが求められる。積立不足が生じた場合は、会社が追加負担で穴埋めをする責任がある。
中小企業退職金共済と企業型の確定拠出年金については、運用と管理、給付まではそれぞれの制度に基づくので、会社が負う責任は毎月の掛金拠出のみとなる。退職一時金の場合、とにかく会社が資金繰りをする必要がある。
支払いの責任を考えるときとくに注意したいのは、…
筆者:企業年金コンサルタント 山崎 俊輔
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令和3年6月14日第3308号13面 掲載