【社労士が教える労災認定の境界線】第328回 飲食店で製麺業務中に熱中症を発症
2021.06.10
【安全スタッフ】
災害のあらまし
飲食店(ラーメン店)に勤務する従業員Y(58歳)は、夕方から開店準備のための仕込み作業(製麺業務)を行っていたところ、突然大量の汗をかき、めまい、吐き気、倦怠感を感じ、別室で少し休んでいたが、その後、症状が改善しないため同僚が病院へ搬送、熱中症と診断された。当日の室外気温29℃、室内気温は27℃、朝まで降っていた雨の影響で湿度が高く、コロナ感染予防対策のため、マスクを着用しての作業であった。
判断
暑熱な場所における業務による熱中症と診断され、業務上による災害と判断された。
解説
毎年、この時季になると、「熱中症」に関する労災申請の相談が増えてくる。
熱中症というと、屋外、猛暑日、建設業や警備業などで発生するイメージがあるが、労災対象となる疾病の範囲を定めている労働基準法施行規則第35条(昭和22年厚生省令第23号)の別表第一の二では、屋外に限った話ではなく、屋内の業務であっても「暑熱な場所での業務」による場合は労災として認定されることが記載されている。
まず、労災対象となるかどうかの判断基準としては、…
執筆:一般社団法人SRアップ21 東京会
社会保険労務士 小泉事務所 所長 小泉 正典
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2021年6月15日第2380号 掲載