【人事学望見】第1292回 公民権保障と解雇? 労働契約上の債務履行が優先か
2021.06.10
【労働新聞】
労基法7条では、労働者が労働時間中に選挙権などの「公民としての権利」を行使し、国会議員などの「公の職務」を執行するために必要な時間を請求した場合、使用者はこれを拒んではならない、と定めている。ただし、会社業務を著しく阻害する場合、解雇も認められる。
公職遂行も バランス重視
町会議員選挙に当選した社員の扱いをめぐって争いになったのは森下製薬事件(大津地判昭58・7・18)である。
事件のあらまし
Aは、昭和45年3月にY社に入社し、以降勤務を続けてきたが、同54年9月町議会議員選挙に立候補して当選した。Y社はこの公務就任は、就業規則および労働協約に定める「知事、市町村長、議会および地方議会議員、その他公共団体の有給公務員に就任したとき」に該当することを理由に、無給である「特別休職」処分とし、合わせて本社人事部に配置転換すると通知した。
判決の要旨
諸規定を合理的に解釈すると、特別休職制度は解雇猶予措置として考えられる事故休職とは明確に区分される。その趣旨は、…
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令和3年6月21日第3309号12面 掲載