【イラストで学ぶ身近なリスクと対策】第16回 天井クレーンの災害(中)
1.はじめに
酷暑の候・猛暑の候、うだるような暑さが続く季節となりました。労働災害の「令和2年熱中症の死傷者は829人・死亡者は25人」でしたが、昨夏の熱中症による全国の「救急搬送者数は6万4869人で、死者数は1433人」とともに過去3番目に多かった。コロナ禍と同様に、熱中症対策も国として取り組むべき課題です。今回も引き続き天井クレーンの災害です。
2.天井クレーン作業でのリスクアセスメントの必要性
天井クレーンはクレーンの中で最も災害が多く、重量物の取扱いなので、一度災害が発生すると重篤度が高いので、リスクアセスメントの実施は努力義務〔安衛法第28条の2〕のレベルではなく、「リスクアセスメントの実施は必須」をお勧めします。「玉掛けを含めた天井クレーン作業のリスクアセスメントを実施」すれば、多数ある残留リスクを書面で確認することができ、作業開始前に行う「KY活動で具体的に活用」することができます。
3.「天井クレーンの災害等3事例」
〔工場の概要〕当社は製缶工場なので、一品生産の大断面製品製作が多く、各種のクレーンを多用した移動が多い。昔、工場内のフォークリフトの繰り返し災害で懲りたので、社長の大英断で工場内の物の移動の大多数は各種クレーン〔*1〕・トラバーサー〔レール走行の台車〕などを使用し、原則として「工場内はフォークリフトの使用禁止」とした。主な資機材は工場端部のトラックプレスで荷受けし、天井クレーンで所定の場所に移動。なお、中央の作業構台〔*2〕上にユニットハウスの休憩所兼工場内会議室を設置、壁面側には高さ2.4mの重量棚が多数あり、溶接機・資機材・工具などを置いている。…
執筆:中野労働安全コンサルタント事務所 所長中災防安全衛生エキスパート 中野 洋一
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