【社労士が教える労災認定の境界線】第103回 介護士が入所者をベッドから車椅子へ移す際にぎっくり腰
2011.04.15
【安全スタッフ】
災害のあらまし
Aは社会福祉法人Bに介護士として勤務している。被災当日、入所者Cを入浴させるためCが入所している個室に来ていた。
Cは両足が不自由で自立できないため、移動には常時車椅子を使用しており、ベッドから車椅子に移し替える必要があった。Aは移乗介助をするため、CにAの首に手を回させ、車椅子に移す準備している時に不意にCがベッドに戻ろうと力を入れたので、一瞬CがAにぶら下がるような状態となった。このため、Cを支えようとしたAの腰部に急激に負担がかかり、激痛が走ったが、落下させてはいけないと無理な姿勢のままベッドにCを戻した。Aはその後立つことができず、同僚に病院に運ばれ「ぎっくり腰」で安静2週間の診断を受けた。Cは、大柄な女性で、気分の起伏が激しく、この日は入浴を嫌がって介助に協力せず、Aは不馴れなために手こずっていた。
判断
今回のケースでは、Aは介護士として2カ月足らずだが、自覚症状も発症歴もなく、前職は重量物を取扱ったりする職場ではなかったので以前から腰痛を持っていたわけではなかった。
今回、Aが腰痛に至った原因が、介助中、急激な力が腰部に作用し、それを原因として腰痛を発症させたと認められ、業務上の判断となった。
解説
業務上で発症する腰痛は、…
執筆:中小企業福祉事業団幹事 タナベ労務管理事務所 所長 田邉 勇輝
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平成23年4月15日第2136号 掲載