【社労士が教える労災認定の境界線】第106回 従業員が自己判断で早朝出勤し脚立から滑り転倒して被災
2011.06.01
【安全スタッフ】
災害のあらまし
A社は建築資材の卸売業を営んでいる会社である。同社に勤める配送担当のBはある日の夕方、終業直前になって出張中の上司Cから顧客リストの書類を揃えておくよう指示された。提出期限は上司が出張から帰ってくる次の日の昼までと、明確な指示があった。
現在の配送先である顧客リストと、過去の配送先顧客のリスト両方の提出を求められたのだが、現在の顧客リストはすぐに準備できたものの、過去の顧客リストの調査は、当日だけでは間に合わなかった。そこで、Bは翌朝早く出勤してリストを作成しようと考え、当日は一旦帰宅した。
次の日、Bは会社の裏倉庫の書庫にリスト情報があることは分かっていたので、足りないものをそこから探そうと始業前の会社の倉庫に独断で鍵を開けて入り、書棚の上部にあるファイルボックスを取ろうと脚立に上がったところ、バランスを崩し、落下・転倒し、右足を骨折してしまった。
判断
業務上災害と認められるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」が認められることが必要である。この件では、「業務起因性」についてはさほど問題になることではないが、…
執筆:中小企業福祉事業団幹事 アイエス社労士事務所 所長 伊藤 悟
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平成23年6月1日第2139号 掲載