【人事学望見】第1296回 退職願撤回の有効性は 使用者承諾意思が到達前までに
2021.07.08
【労働新聞】
労働者からの退職の意思表示についての争いは、当事者の意思から合理的に推測される場合や客観的状況など、法的に有効なものか否かが判断される。退職意思の表明が本心でない(心理留保)か勘違い(錯誤)に当たる場合は無効であり、強迫に当たる場合は取り消せる。
合意解約を図る希望なら
学校法人白頭学院事件(大阪地判平9・8・29)は、教師が生徒の母と情交を持ったことを理由に懲戒解雇の有効性が争われた生々しい事案である。
事件のあらまし
教師は、生徒の母親と情交関係を持ったとし、退職願を提出したがそれは母親の前夫からの脅迫によってなされたものであるとして、学院に合意解約の意思表示の撤回を申し出た。
学院は、生徒の母親と情交関係を持ったことは、「教職員としての品位を失い、学院の名誉を損ずる非行」とし、合意解約は認めず懲戒解雇を命じている。
判決の要旨
労働者による雇用契約の合意解約の申込みは、…
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令和3年7月19日第3313号12面 掲載