【多角的に考える両立支援の実践――改正育介法対応】第4回 マタハラ対策 制度利用者にも課題 周囲と業務の事前調整を/佐藤 有美
2021.07.15
【労働新聞】
厳罰一辺倒に限界あり
「え!また休むの?迷惑!」――社内で、育児中社員へのマタハラ(パタハラ)発言があったかどうかの事実調査をし、発言者へ厳罰(懲戒処分)を下し、他部署への配置転換や遠方事業所への転勤を命じる。その後、社内に処分内容を公表し、「マタハラには厳罰にて対処する」と周知して対応終了。マタハラ事案の対処として、最もあるべき姿に思える。
しかし、「厳罰一辺倒」の対応には、限界もある。
育休などの制度利用や妊娠などの状態への嫌がらせの言動は、マタニティハラスメント(マタハラ)といわれる。男女雇用機会均等法、育児介護休業法上、事業主にはマタハラ防止措置が求められている。各社はこれに対応して就業規則に「マタハラ禁止」規定を追加し、懲戒処分対象と定めた。
令和2年度厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、マタハラの予防・解決のために実施している取組みについて、…
筆者:西脇法律事務所 弁護士 佐藤 有美
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令和3年7月26日第3314号6面 掲載