【裁判例が語る安全衛生最新事情】第145回 中野運送事件 脳出血と後遺障害への損害賠償 東京地裁平成19年12月14日判決
2012.01.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告Xは、長距離トラック運送会社であるY社のトラック運転手であった。
Xは平成3年にY社に入社したが、平成10年10月頃から愛知県春日井市所在のK営業所に所属し、埼玉県行田市所在のS営業所の業務を応援することとなり、K営業所からトラックを運転してS営業所に向かい、そこで荷物を積み込み、関西地方に輸送した後、K営業所に戻るという運行ルートを担当した。
その後、平成12年1月、XはS営業所の所属となり、火曜日から金曜日までは、概ね午前3時過ぎに自動車部品を積載したトラックを運転してS営業所を出発し、長野県飯田市の高速道路のパーキングエリアで、本社営業所から来た空荷のトラック運転手と交代してトラックを乗り換えてS営業所に戻る勤務パターンであった。さらに、土曜日には、S営業所から直接本社営業所まで運転してS営業所に戻るという勤務をしていた。
平成13年3月3日(土)、XはS営業所から本社営業所に向けて運行を開始したが、途中で脳出血を発症。救急車に運ばれ入院したが、後遺症が残り、左上下肢廃用との診断を受け、労基署長は後遺障害等級2級の認定をした。
Xは被告Y社に対して、長時間労働を強いられた結果、重大な障害を受けたとして安全配慮義務違反による損害賠償請求を起こした。
Ⅱ 判決の要旨
1、原告Xの業務内容
本件においては、Xは従前業務の過重労働により、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成24年1月15日第2154号 掲載