【社労士が教える労災認定の境界線】第122回 総務課社員が工場の床を塗装中、充満した溶剤に引火し火傷
2012.02.01
【安全スタッフ】
災害のあらまし
各種産業機械の塗装、溶接を請け負っている工場で火災(ボヤ程度)が発生。社員Aが手足に軽い火傷を負った。社員Aは塗装作業員ではなく総務課所属であったが、工場の床の塗装が剥げていた箇所を発見したため、自らラッカー系のペンキで塗装作業を行っていた。
床の塗装が剥げていた箇所は工場の隅だったこともあり、換気が十分ではなく、ペンキに含まれる引火性の蒸気があたりに充満していた。さらに、大きな機械の陰になり、工場で溶接をする作業場から見えにくい場所だったため、社員Aの塗装作業に気がつかなかった別の社員Bが近くで溶接作業を行ってしまった。これにより充満した溶剤に引火し、火災となり塗装作業中の社員Aが火傷を負ってしまったもの。
判断
剥げていた工場の床の塗装を直すように上司が命じたものではないが、社員Aが総務課所属という立場にあり、常日頃から工場内の点検を行い不備があれば対応していたこと、工場内に床の塗装を直すものが揃っていたことなど、業務起因性が認められ業務上と判断された。…
執筆:一般社団法人SRアップ21東京 社会保険労務士小泉事務所 所長 小泉 正典
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平成24年2月1日第2155号 掲載