【社労士が教える労災認定の境界線】第330回 納期間に合わず出張先のホテルで自殺
2021.07.27
【安全スタッフ】
災害のあらまし
Aは大学卒業後コンピューター関連会社Tに就職したが、OJT以降急激に労働時間が増加した。OJTの一環として、短納期のシステム開発作業にチームの一員として従事するようになり、遠く離れた地に出張してホテル暮らしを続けながら、納期を守るべく極めて長い労働時間不慣れな業務を続けていた。Aは、それまで強い過労を感じていたが納期に間に合わないという状況に陥り、出張先のホテルの自室で自殺をした。この件についてAの父BがX労働基準監督署長に労災保険法に基づく遺族補償一時金と葬祭料を請求した。
判断
X労基署長は、Aの自殺は、業務上の事由は認められないとして不支給処分を行った。Bは審査請求、再審査請求をしたが、いずれも棄却の決定を受けたため、当該処分の取り消しを求めて控訴。Y地裁では、Aの自殺による死亡の業務起因性を肯定して遺族補償一時金などの不支給処分を取り消し、業務上の災害となった。
解説
ストレスと精神疾患(うつ病)との因果性、業務起因性を判断する際は、…
執筆:一般社団法人SRアップ21 埼玉会
社会保険労務士行政書士楠原事務所 所長 楠原 正和
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2021年8月1日第2383号 掲載