【社労士が教える労災認定の境界線】第125回 糖尿病の労働者が元同僚ともみ合い負傷、右手を壊疽・切断
2012.03.15
【安全スタッフ】
災害のあらまし
トラック運送業務をしている労働者Aは、新人Bが入社した際、最初の3日間教育係を任された。しかし、教育期間が過ぎてもBの仕事上のミスを見かけることがあったので、Aはそのまま指導を続けていた。だが、Bにはやる気が見受けられず、Aが注意しても反抗的な態度で、入社後14日で退社した。その3日後の午前7時頃、会社の車庫で仕事の準備をしていたAに対して、Bが殴りかかってもみ合いとなった。そのとき、Bの歯によってAは右手を負傷した。糖尿病に罹患していたAは、負傷後、右手の傷口付近の筋肉や骨が菌に感染して壊疽し、右手の一部を切除することになってしまった。また、Bもそのときに顔の一部を負傷した。Aは、療養補償給付などの請求をしたが、不支給とされ、再審査請求をするに至った。
判断
Aが襲われた際、Bも負傷していることから「ケンカ」とみられる可能性もあったが、Aの行為が正当防衛であったことが認められた。そのほか、業務との関連性や私的なうらみや挑発の有無などの観点に照らし業務と負傷との間に相当因果関係があると認められ業務上。…
執筆:一般社団法人SRアップ21 静岡会
太田労務管理事務所 所長 太田 法行
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平成24年3月15日第2158号 掲載