【社労士が教える労災認定の境界線】第126回 業務上負傷した社員が就労中に通院し交通事故に遭い骨折

2012.04.01 【安全スタッフ】
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災害のあらまし

 P社は光学用レンズの研磨加工を主にした事業所であり、研磨加工社員Sは勤務年数も長い中堅社員である。

 Sは業務上負傷した右手第1指並びに第2指切創の治療のため自転車で病院へ行く途中、信号機のないT字路交差点を右折しようとしていたが対向車両が向かってきていたのでやり過ごそうとして停車していたところ、後方より進行してきた軽自動車に接触衝突されたため転倒し顔面外傷と左大腿骨亀裂骨折の負傷したものである。

判断

 勤務時間中ではあるものの、業務上の負傷の治療のための通院途上の交通事故による災害であり、当時治療中であった右手第1指および第2指切創を負っていたために発生したと認めるに足りる事実はない。

 また、業務上の負傷の治療のための通院行為を一般に業務上の行為であるということはできず、今回の交通事故は業務との因果関係のない事故である。

 しかし交通事故は業務と無関係であっても交通事故によって治療中の傷病を増悪または加重した場合、増悪・加重部分は補償の対象となり得るものであるが、この場合、当初の業務上の負傷とは全く異なる部位の負傷であるので、この点でも補償対象となり得ないものである。

 よって、交通事故による負傷は業務外であると判断された。…

執筆:一般社団法人SRアップ21 青森会
タカヤ社会保険労務士事務所 所長 高谷 裕二郎

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平成24年4月1日第2159号 掲載
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