【社労士が教える労災認定の境界線】第108回 新築棟上げの餅まきに参加した労働者が押され転倒しケガ
2011.07.01
【安全スタッフ】
災害のあらまし
X建設に勤務する労働者Aは、会社の指示を受けてY建設が請け負っていた新築家屋工事の棟上げ作業に従事した。この地域の慣習として棟上げが終わった後に祝賀行事として「餅まき」が行われているが、Aは、この餅まきの餅拾いに参加した際に何者かに押されて転倒し、頸髄損傷の傷害を負った。
なお、Aに対しては棟上げ当日の賃金は支払われておらず、会社がAを棟上げ作業に従事させたこと自体も同業者に対する儀礼的な要素が含まれていた。
判断
この棟上げ作業に従事したこと自体は、賃金の支払いがないということをもって、業務遂行性を否定することはできない。しかし、餅拾いに参加するかどうかは、あくまでも各人が自由に決定すべきことがらであり、棟上げに際しX建設が餅拾いに参加するようにとの業務命令を発しておらず、また、Aが今までの経験から餅まき行事には群衆が集中して危険であると承知しており自ら危険な状況に身を置いた結果、災害が発生した。
以上のようなことから業務遂行性も業務起因性も認めることはできず、業務外と判断された。…
執筆:中小企業福祉事業団幹事 社会保険労務士こにしオフィス 所長 小西 朋安
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平成23年7月1日第2141号 掲載